(4)名古屋市消防局防災部防災室
○調査実施日時:平成14年11月21日(金) 13時30分〜16時
1.防災情報システムの概要
名古屋市消防局では、防災行政無線及び地域防災無線による防災情報通信ネットワークのほかに、消防局防災室(市災害対策本部)、消防局各部及び各区(区災害対策本部)をLANで結び、被害情報の収集・共有を目的とした災害対策支援情報ネットワークシステムの整備(旧システムの高度化)を行い、2002年4月から運用している。
このシステムは、消防局にネットワークサーバを設置し、局各部及び各区が、それぞれ把握した被災情報を端末から入力し、これを集約してLANに接続された各端末から見ることができるようにすることで災害時の情報共有を図るものである。
さらに、このシステムには、地震観測情報による即時被害予測機能を持った地震被害予測システム、雨量・河川監視情報による水害危険予測機能を持った水防情報システム(Nicos)、市民から被害情報を提供してもらうための定点観測システム等が接続され、総合的な災害情報システムの形態を呈している(図2)。
2.情報収集
○LAN端末から入力される情報
各担当部あるいは各区災害対策本部がLANに接続された端末から入力する災害情報は概ね次のようなものである。
1)人的被害情報
2)住家・非住家被害情報
3)公共施設被害情報
4)火災発生情報
5)その他被害情報(崖くずれ、鉄道不通等)
6)物資供給依頼情報
7)避難勧告準備・避難勧告情報
8)避難者発生情報
○市民観測情報
前述の定点観測システムにより市民から入力される情報である。これは、事前に市民及びコンビニエンスストア、ガソリンスタンド等の事業所に、災害時の防災情報提供者としてボランティア登録をしてもらい、ファクシミリやインターネットを利用して市災害対策本部に情報を提供してもらうものである。提供される情報の内容は次の通りである。
1)玄関先の道路に溜まっている水の深さ・水位の変化(水害時)
2)自宅付近の建物の状況・火災の発生状況(地震時)
ファクシミリで送信された情報は自動認識によりデジタル化され、インターネットによる情報とともに蓄積される。登録者の住所は事前に地図上に登録され、入力された内容をもとに色分け表示することにより、災害初期の市内の被害状況が一目で把握できるようになっている。
2.住民への情報提供
1)ホームページによる災害情報の提供
災害対策支援情報ネットワークで集約された情報をインターネットサーバに転送し、ホームページ上で「災害緊急情報」として情報提供を行なう。掲載する情報は次のとおりである(図3)。
1)避難に関する情報
・避難勧告準備情報(発表・解除日時、経緯、対象区・学区、発令理由)
・避難勧告情報(発表・解除日時、経緯、対象区・学区、発令理由)
2)被害速報
・人的被害(死者数、行方不明者数、負傷者数)
・住家被害(全壊・半壊・一部損壊棟数、床上・床下浸水棟数)
3)避難者発生情報(避難所名、避難所開設・閉設日時、避難世帯数、避難人数)
4)市民観測情報
掲載する情報は、市対策本部の総括部総括班の端末だけから作成することが可能であり、これらの情報とあわせて緊急メッセージと以下のライフライン関係機関の公式ホームページへのリンクが掲載される。
1)道路情報((財)日本道路交通情報センター)
2)電話の状況(西日本電信電話(株))
3)電気の状況(中部電力(株))
4)ガスの状況(東邦ガス(株))
5)JR運行状況(東海旅客鉄道(株))
6)名鉄運行状況(名古屋鉄道(株))
7)地下鉄・市バス運行状況(市交通局)
これらの情報は災害が終息するまで掲載され、その間は名古屋市ホームページ、名古屋市長公式ホームページ(まつたけねっと)のトップページに[災害緊急情報」のページへのリンクが作成される。
2)クイックキャスト・自動販売機による情報の提供
災害発生時に、市内12箇所に設置されたクイックキャスト、自動販売機に市民に伝達したい情報を流す。提供する情報は、警報等の気象情報、避難勧告等の避難情報、東海地震に関する判定会招集・警戒宣言発令等の情報で、上記緊急メッセージと同じものである。
○防災関係機関との情報共有及び連携
1)豪雨災害の教訓
名古屋市消防局では2000年9月発生の豪雨災害の後、学識経験者、報道関係者、市職員等から成る委員会を設置して、最適な収集伝達システムの検討を行い、これをもとに本システムの整備を行った。この委員会で、防災関係機関における情報共有のあり方について以下のような提言が出された。
河川、道路、電気・ガス、避難所等の情報はそれぞれの機関や場所で保有しているため、防災関係機関の間で情報を相互交換したり情報ネットワークを構築するなどして情報の共有を図る必要がある。具体的な実効手段としては次の次項が挙げられる。
1)防災関係機関との情報の相互交換、またはネットワークの構築
2)愛知県高度情報通信ネットワークの活用
3)防災関係機関のための情報共有ホームページの構築
4)水防情報システムの高度化(Web化による情報共有)
5)災害対策支援情報ネットワークの高度化(本システム)
6)画像伝送システムの高度化(多重無線を利用して画像、映像を区役所や消防署に配信、また他の防災関係機関がもつ画像、映像を共有)
2)愛知県高度情報通信ネットワーク
2002年度に愛知県では、現在の地上系防災行政無線局の再整備にあわせ、国の指導による衛星系通信網の整備を行い、通信の多ルート化による防災対策の充実を図るとともに、行政の高度情報化に対応するため、高度情報通信ネットワークが整備される。
これは、県情報通信ネットワークを始め、県と市町村の間や市町村相互間の情報通信ネットワークの接続も可能となる、デジタル回線を駆使した大容量の情報通信基盤として整備されるものであり、災害時の情報収集・共有に積極的に活用していく。
図2 名古屋市災害対策支援情報ネットワークの概念図

図3 名古屋市消防局のホームページに掲載される「災害緊急情報」
